リードの悩みは、リード楽器を吹く人にとって切り離せないものですよね。いつも、良いリードを探しているのに「無い...」と妥協している状態です。リードを買って、良いのが無ければ、リードの調整はしてみるものの、それでもしっくりこない時は、メーカーや種類を変えてみたり、厚さ(番号)を変えてみたり、昔のリードを使ってみたり、あげくの果てはマウスピースを変えてみたり。。。。
まあ、悩んでいる状態が普通なので、そうして普通に試行錯誤している中、先月、クラリネット奏者の東谷聖悟氏から、リードの調整に関する耳寄りな情報を教えていただきました。
今までリードの調整は、紙ヤスリ等で削るのが慣例でしたけど、カッターでリードの維管束(縦に入っている繊維)を切る方法があるのだそうです。リードの厚さを調整するのではなくて、剛性(反発力)を調整するという発想です。
ちょっと、目から鱗が落ちませんでしたか?
私は感心して、早速その方法を試してみました。
簡単にこんな感じです。
1)2〜3分リードを水に浸す。これは、維管束を柔らかくしカットし易すくするためと、吹いている時と似た状態にするためだそうです。
2)リードを窓ガラスに押し当てる。これは自分流です。基本はガラス板の上にリードを押し当てるという事です。でも、窓ガラスも日中の場合です。日の光で、リードが透けて維管束がハッキリ見えるので分かり易いです。夜の場合は、懐中電灯などの光を利用して、ガラス板にリードを押し当てると良いと思います。
*写真ではガラスの表面がデコボコに見えますが、2重ガラスになっていて、ちゃんと平らなガラスに押し当てています。
3)維管束が密集しているところをカッターで維管束と垂直にカットして行く。
1〜2mmぐらいの間隔でカット。始めは1本の維管束につき、2〜4カ所ぐらいにして、吹きながら 勘で切り口を増やして行くのが良いと思います。
中央が一番弾力がある状態が良いので、中央はあまり触らず、端に向けて弾力を少なくしていくイメージで、カットしていきます。
この調整を試してみた実感としては、削るよりも、変化がはっきりしていて、成功率も高いように思いました。
ところで、リードを測定して、「駄目リード」を「自分好みのリード」に変える事の出来る夢のような機械があるのをご存知ですか?
先日の9/19(日)、リードの剛性を測る「リードマイスター」という測定器を発明された、花井宏維氏(シングルリード研究室代表)と、リードの調整方法を分かり易く文章で書いておられる、野町雅之氏(高知クラリネット協会会長・加領郷小学校校長)が、「日本クラリネットフェスティバルin広島」のブースでデモンストレーションに来られるというので、『それは、是非体験しなければ!!』と思い会場の広島安芸区民文化センターへ行って来ました。
ブースを訪れてみると、皆が持って来るリードを、黙々と「リードマイスター」を使ってカッターで調整をされている花井氏と野町氏がいらっしゃいました。
この方は花井氏です。元々測定器のお仕事をされておられ、退職後にこの「リードマイスター」を特許取得後3年かけてこの機械を作られたそうです。
リードの先端辺りの弾力を測っています。
弾力がグラフになって出て来ます。縦が弾力の強さで、上に行く程強いということです。半円を描くようなグラフになれば、良いリードです。これは、中央はへこんでいますので、あまり良くないリードです。このグラフを見ながら半円になるように、繊維の強い部分をカットしていきます。
私も3枚リードを調整していただきましたが、自己流と大きく違っていた点は、1本の繊維に対し、シュッ、シュッ、シュッと軽く、何十本もカッテイングをされていた事です。
カッターは、普通ので良いそうですが、お二人が使われていたのは「1枚切りカッター」といって、紙が一枚だけ切れるというカッターなのだそうです。「1枚切りカッター」を文房具屋さんで見たら、700円ぐらいでしたが、PCで調べたら100円ぐらいからあるようです。
「リードマイスター」で測定しながら調整していくと確実ですし、自分の好みのリードの測定をし記録しておいて、その複製も出来るという夢のような機械です。(22万円だそうです!*年内のキャンペーン価格です/2010年内)
調整していただいたリードは3枚とも、良く鳴るようになりました。ただ、元々のそのリードの音色の質は変わらないので、「良い音なんだけど、ちょっと厚く感じるリード」というタイプのリードに特に効果が有るように思います。機械を使って好みの強さを見つけて、本当に自分の好みのリードを作れるようになれば、楽しいだろうなあ〜と思うものの、諸事情を考えて購入は断念、当面は、手動で自分なりにリード調整を続けてみようと思います。
こうして素晴らしい研究をされておられる方には、本当に敬意を表したいです!
野町雅之氏が書かれた、『悩めるクラリネット吹きのために』〜クラリネットリードのお話と調整〜という小冊子(全32p)に、リードの調整法について詳しく分かり易い説明があります。リガチャーの調整法まで載っています。(何と、無料で配布されておられます)是非、読んで見たいという方は、コピーOKということですので、 ご一報下さい。kiginokoe@me.com
花井さん、野町さん、貴重な情報を惜しみなく教えていただきありがとうございました。
「リードマイスター」購入についてのお問い合わせ先
Tel. 03-3973-6189
E-mail. hanaikhoi@wing.ocn.ne.jp
HPでは、機械の使い方の動画を見たり、リード調整前と調整後の音色が聴けますよ♪