2010年3月3日水曜日

中村屋 コンサート/ダリウス・ミヨー



ダリウス・ミヨー(1892〜1974)は、映画音楽、バレエ音楽、交響曲、室内楽、オペラ、放送劇音楽等々あらゆるジャンルの作品を500曲近く残し、陽気で常に精力的で、「フランス6人組」の中でもリーダー的存在でした。

ミヨーは、敬愛していた詩人ポール・クローデルがリオ・デ・ジャネイロに公使に赴任した時に、その秘書として同行し、1916〜18年ブラジルに滞在します。

この2年間で、彼はブラジルの自然や音楽の魅力に心奪われ、多大な影響を受けます。その後、1922年に渡米した時には、ニューオリンズ様式のジャズにはまり、彼の作品には、サンバやタンゴ、ジャズの強烈なリズムや響きが大胆に取り入れられています。

「スカラムーシュ」もまさにラテン系の曲です。ミヨーは、この曲をあまり気に入っていないそうですが、本人の気持ちとは裏腹に人気の高い曲です。ギタリストのアサド兄弟が演奏する「スカラムーシュ」3楽章の “ブラジルの女” が、あまりにも素敵なので、聴いてみて下さい。



この曲は、「2台のピアノのため」「アルトサクソフォーンとオーケストラのため」と2種類の楽器編成でミヨーが作曲しましたが、ギターでの演奏はより自然に聴こえます。

ミヨー自身が演奏をしている“ピアノ2台”の「スカラムーシュ」も名演で好きです。


Darius Milhaud (1892-1974):
Scaramouche for two piano's, opus 165b (1937)
I Vif
II Modéré
III Brazileira

Darius Milhaud and Marcelle Meyer (1897-1958), piano
Recorded in 1938.

もう一曲、ブラジル音楽が聴こえてくる心地よい作品。「ブラジルの思い出op.67」よりコルコヴァードです。



You Tube でミヨーの音楽を色々聴いていたら、恥ずかしながら知らなかった弦楽4重奏曲を聴く事ができました。
これが、自分の知っているミヨーの音楽に対して意外な感じで、大変惹かれました。第1番の1,2楽章です。まだブラジルへ行く前の1912年の作品です。



ミヨーは7才の時にヴァイオリンを始め、すぐに腕をあげ、10才になると師匠の弦楽四重奏団の第2ヴァイオリンに抜擢されたそうです。
これが、辛かったらしいです。
というのも、遊びたい盛りの10才から15才までの間、毎日、そのカルテットの厳格な練習に4時間参加しなくてはいけなかったからだそうです。
でも、この経験がこれらの作品に活きていて、圧巻です。
弦楽四重奏曲は全部で第18番まであって、その中の、第14番と15番は合わせて演奏すると、ナント弦楽8重奏曲になるそうです!!!
15番は You Tube で聴く事が出来ますが、充分複雑で(でも美しいです)これを、他の曲と合わせて別の曲にするなんて、驚かされます。
いつか、聴いてみたいです。

それにしても、天才というのは本当に凄いなあとつくづく思います。

揺るぎのない人並み外れた基礎能力があって、その上に非凡な発想と、それを実行に移すエネルギーと、ゆとりすらあるのだから。